無理しない介護のすすめ ― 介護を続けるために大切な「距離の取り方」と心の整え方

はじめに

介護が始まったばかりのころ、私は「自分が頑張らなきゃ」と必死でした。
義母のALS(筋萎縮性側索硬化症)の介護、そして義父の認知症のサポート。
仕事や家庭と両立しながらの日々は、正直いって心が追いつかないことも多かったです。

「ちゃんとやらなきゃ」「もっとできるはず」と自分を追い詰め、
気づけばいつも息苦しくなっていました。

でも、そんなときに学んだのは——
“無理しない介護こそ、長く続けられる介護” だということ。

この記事では、私自身の経験を通して感じた「介護との向き合い方」を、
少しでも心が軽くなる形でお伝えします。


がんばりすぎていた日々 ― 義母のALS介護で気づいたこと

義母の病気が進行していくなかで、
できることが日に日に減っていく現実を受け入れるのがつらく、
「少しでも快適にしてあげたい」と思うあまり、
自分の時間も気持ちもどんどん後回しにしていました。

呼吸器の管理や食事の介助、病院との調整など、
やることが尽きることはありません。
そんな生活が続くと、
「自分がいなくなったらどうなるんだろう」という不安ばかりが膨らみます。

けれど、ある日ケアマネジャーさんに言われた言葉が心に残っています。

「介護を続けるには、介護者が倒れないことが一番大事ですよ。」

その一言で、初めて「自分を守ることも介護の一部」だと気づきました。
それからは、**レスパイトケア(介護者の休息)**を積極的に利用するようになりました。

▶ 詳しく読む:「【レスパイトケア】介護者が休むことは悪いことじゃない」


義父の認知症介護で見つけた「人とのつながり」の大切さ

義母の介護が一段落した後、今度は義父の認知症が進行しました。
物忘れが増え、怒りっぽくなった義父にどう接すればいいかわからず、
何度も感情的になってしまったこともあります。

でも、デイサービスを利用するようになってから、少しずつ状況が変わりました。
義父が家以外の人と関わる時間を持てたことで、
介護する側の私たちにも「ひと息つける時間」ができました。

何よりも、スタッフさんに話を聞いてもらうだけで
「自分だけじゃない」と感じられる安心感がありました。

介護は「ひとりで頑張るもの」ではなく、
「人と一緒に続けていくもの」 なんだと実感しました。

▶ 関連記事:「【介護の時間管理術】自分の時間を取り戻す小さな工夫」


無理しない介護のための3つの考え方

1. 完璧を目指さない

「こうあるべき」と思い込むと、心がどんどん苦しくなります。
“できる範囲でいい” と割り切ることで、介護にも余裕が生まれます。

2. 人を頼ることをためらわない

家族・行政・介護サービスなど、利用できるものはどんどん頼りましょう。
「自分が全部やらなきゃ」という気持ちを少し手放すだけで、
見える景色が変わります。

▶ 関連記事:「【介護サービス活用法】初めてでも安心して使えるポイント」

3. 自分の感情を置き去りにしない

「つらい」「疲れた」「もう嫌だ」と思うのは当然のこと。
そう感じる自分を責めずに、受け止めることから始めましょう。

▶ 関連記事:「【介護中の心のケア】ストレスをためないための小さな習慣」


助けてもらうことに罪悪感を持たない

介護をしていると、「他の人に任せるのは申し訳ない」と感じる瞬間があります。
でも、助けを求めることは「手抜き」ではなく、
”介護を続けるための工夫” です。

サービスを利用することは、
介護される側にとっても、関わる人が増える良い機会になります。
介護はチームで行うもの。
「頼る」ことも大切な力です。


介護を続けていくために ― 小さな余白を意識する

介護をしていると、時間も心も自分のために使う余裕がなくなりがちです。
でも、ほんの数分でも「自分を取り戻す時間」を意識的に持つようにしています。

・朝のコーヒーをゆっくり飲む時間
・子どもの寝顔を見る時間
・好きな音楽を聴く時間

そうした小さな余白が、介護を続ける力になります。


おわりに

介護は、誰にとっても簡単なものではありません。
けれど、「頑張る」だけでは続けられないのも現実です。

だからこそ、
「無理をしない」ことを前提にしていい。
それが、介護を長く続ける一番のコツだと思います。

あなたが少しでも心を休められる時間を持てるように、
このサイトでは「無理しない介護のヒント」をまとめています。

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